アスベスト除去作業現場での事故対策
アスベスト除去作業現場での事故対策について
アスベスト除去作業は、非常に危険な作業であり、適切な事故対策を講じることが極めて重要です。
最近では、2025/4/17、大阪市北区天満のマンションの解体工事現場で、アスベストの除去作業で使った有機溶剤を吸ったとみられる作業員3人が病院に搬送され、このうち32歳の女性作業員が死亡するという事故が発生しています。
アスベスト除去作業現場での事故対策は、労働者の健康被害を防ぐだけでなく、作業の安全性を確保し、円滑な進行にも繋がります。
アスベスト除去作業現場での基本的な事故対策
アスベスト除去作業現場での基本的な事故対策について、以下にまとめました。
- 1. 作業計画の徹底と周知
・詳細な作業手順、使用する保護具、緊急時の対応などを明記した作業計画を作成し、
作業者全員に周知徹底します。
・作業前のミーティング(KY活動など)で、危険予知や役割分担を確認します。
・計画変更時には、速やかに全員に情報を共有します。 - 2. 適切な保護具の着用と管理
呼吸用保護具:
電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)、全面形または半面形面体と高性能フィルターの組み合わせなど、作業環境に適した呼吸用保護具を必ず着用させます。フィットテストを実施し、密着性を確認します。保護衣:
タイベック®などの使い捨て式保護衣を着用させ、作業後は適切に処理します。保護手袋:
耐透過性のある保護手袋を着用させます。保護メガネ:
粉じんの侵入を防ぐ密閉性の高い保護メガネを着用させます。安全靴:
滑りにくく、踏み抜き防止機能のある安全靴を着用させます。
保護具の正しい着用方法、点検方法、保管方法について指導します。 - 3. 作業環境の管理
隔離養生:
作業場所をビニールシートなどで完全に隔離し、粉じんの飛散を最小限に抑えます。負圧管理を行い、外部への漏洩を防ぎます。湿潤化:
作業前にアスベスト含有建材を十分に湿らせ、粉じんの発生を抑制します。集じん・排気装置:
高性能フィルター(HEPAフィルター)付きの集じん機や負圧機能付きの排気装置を使用し、作業環境中の粉じん濃度を低く保ちます。定期的なフィルターの清掃・交換を行います。作業後の清掃:
作業終了後、隔離養生内をHEPAフィルター付き掃除機で丁寧に清掃し、拭き取りを行います。使用した保護衣やその他の資材は適切に処理します。 - 4. 健康管理
・作業者に対して、作業前、作業中、作業後に健康状態を確認します。
・定期的な健康診断を実施し、アスベストによる健康影響を早期に発見します。
・喫煙はアスベストによる健康被害を増大させるため、禁煙指導を徹底します。 - 5. 緊急時対応
・緊急連絡体制を整備し、事故発生時の連絡先、避難経路、応急処置などを周知します。
・救急セットや洗眼設備などを現場に備え付けます。
・定期的に避難訓練を実施します。 - 6. 教育訓練
・アスベストの危険性、除去作業の方法、保護具の使用方法、緊急時の対応などについて、
作業者に対して十分な教育訓練を実施します。
・新規入場者に対する安全教育を徹底します。
・定期的な再教育を実施し、知識や技術の維持向上を図ります。 - 7. 監督体制の強化
・作業責任者を明確にし、作業が計画通りに安全に進められているかを監督させます。
・安全衛生担当者を配置し、作業環境の確認や安全指導を行わせます。
・定期的な安全パトロールを実施し、危険な箇所や不安全な行動を早期に発見・改善します。
有機溶剤関連の測定器
主な測定機器は以下になります。
- 有機溶剤や腐食性ガスの吸引に: 「ダイアフラム型真空ポンプ DTC-21」など。
- 揮発性有機溶剤ガス(VOC)の検知に: 「ポータブルマルチガスモニター(VOC/ppb) GX-6000」など。
- 測定ごとに試薬の交換が不要で手間いらずで簡単操作: 「ホルムアルデヒド検知器 ホルムテクター XP308B」など。
- 室内の簡易チェックに: 「ホルムアルデヒド検知器 FP-31」など。
まとめ
有機溶剤を使用したアスベスト除去作業は、一歩間違えれば重大な事故につながる可能性があります。上記のような対策を徹底し、安全第一で作業を進めることが不可欠です。常に危険を意識し、安全な作業環境の構築に努めてください。