超音波流量計
超音波流量計の基本的な仕組み
超音波流量計とは?
超音波流量計とは、超音波を利用し流体の流速を計測することで、その流速から流量を計算する測定器です。
超音波が通る流体ならば、流量を測定することが可能です。
超音波流量計の特徴は下記があげられます。
- 〇超音波センサで計測するため流体に接触せず計測が可能。
- 〇配管内に設置する必要がないため、圧力による損失が少ない。
- 〇低流速(数cm/s)から高流速(数十m/s)までと計測できる範囲が広い。
- 〇計測の精度を上げるために、前後に直管部が必要になる。
超音波は音の一種で、人間の耳には聞こえない高い振動数をもつ音波のことです。
音とは空気の振動のことで、気体や液体、固体などの媒体によって伝わります。
光が真空中でも伝わるのに対し、超音波は真空中では伝わりません。
また、媒体の種類によって超音波の伝わる速度は異なります。
気体<液体<固体の順で伝搬効率が高くなり、音速も速くなる傾向にあります。
空気中の音速は約340m/秒ですが、水中では約1,500m/秒と言われています。
流量計とは
流量計とは、流れるものの量を測る計測器になります。
管路や溝を通って流れる流体(気体、液体、蒸気)の単位時間当りの体積または質量を測定するために使用します。
一番身近なもので例えると水道料金。
使用した分だけの請求が水道局からありますが、使用した分、つまり、使用した量が「流量計」によって、計られています。
超音波流量計の種類
超音波流量計の種類について
流速を計測する方法には、「伝搬時間差法」「シングアラウンド法」「ドップラー法」などがあります。
- 〇「伝搬時間差法の原理」
伝搬時間差方式の超音波流量計の原理は、流れの上流側と下流側に超音波センサを設置します。
上流側から発信した超音波を下流側で受信したときの伝搬時間と、下流側から上流側への伝搬時間をそれぞれ計測することで、その時間差から流速を計算し流量を測定するものです。 - 〇「シングアラウンド法の原理」
シングアラウンド(sing-around)法とは、超音波パルスを利用し、一対の送受波器およびトランシーバ(電気的増幅回路とパルス送信回路とが結合したもの)を用いることで、媒質中の超音波パルス伝搬速度を測定するものです。
「ドップラー法の原理」
超音波パルスを液体中へ送信し、液体中の気泡や粒子等の反射体からエコーのドップラー周波数が流速で変化することを利用し、流速分布を求め流速を測定。異物を含む不透明な流体に向いています。
「伝搬時間差法」や「シングアラウンド法」は、超音波の伝搬を利用することから気泡や浮遊物の少ない(超音波の減衰が小さい)流体の測定に向いており、半導体製造装置の薬液の流量管理や河川の流量調査などに主に使用されています。
逆に「ドップラー法」では、気泡や粒子からの反射を利用するため、気泡や粒子が存在する流体の測定に向いており、下水処理施設における汚泥の流量管理、工場排水の流量管理などに多く使用されています。
各超音波流量計の特徴について
超音波流量計 ポータフローX【富士電機システムズ】
・配管の外側にセンサを取付けるだけで流量計測ができる特長を生かし、最新のエレクトロニクスとデジタル信号処理技術を採用して小型・軽量化を実現したポータブル型超音波流量計です。
- ・既設配管の外側から、流量が簡単に測れます。
- ・小口径から大口径まで1台でOK。
- ・測定データは表示器やプリンターで直ちに見えるほか、内蔵のメモリに蓄えておくこともできます。
- ・配管径13?6000Aまで。
- ・電源アダプタ:専用電源アダプタAC90?264V、47?63HzまたはDC10から30V。
食品プラントの原料や洗浄水の流量測定や半導体製造プラントの純水の流量測定に。
オフィス環境の冷暖房などの温水、冷水の流量測定、各種プラントの冷却水の流量測定。
めっき液や腐食性液体の流量測定などに使用されています。
ポータブル超音波流量計 UFP-20【東京計器】
- ・2測点測定機能
1台の本体で異なる2つの配管を同時測定が可能。 - ・熱量測定機能能
測温抵抗体(Pt-100/最大4点まで)を接続することでポータブル熱量計(カロリーメータ)としても使用可能。 - ・本体保護構造(IP65)能
測定中でもIP65の防水・防塵性能を発揮。 - ・波形表示機能能
超音波受信波の状況をビジュアルに把握でき、測定状態を一目で判断可能。 - ・USBメモリによるデータ転送能
本体内のログデータ(CSV形式)をUSBメモリを介してPCへ転送可能。 - ・厚さ計機能と音速測定機能を標準搭載能
現場での配管の厚さ測定や流体の音速測定に威力を発揮。
適正な使用量把握、漏れ量の把握などや上・下水道の調査に。
飲料水の流量調査、原油、ディーゼル油・燃料油(A重油)、潤滑油の測定などに使用されています。
超音波流量計 ポーターフローC【富士電機システムズ】
- ・SDカードで長期間の測定データ保存
- ・消費熱量演算機能付き
- ・バッテリ駆動で連続12時間動作
- ・パソコン接続に便利なUSBポート付き
- ・SDカードで1年分の測定データ保存ができ、保存したデータはパソコンで再生可能。
既設流量計のバックアップ用や水道管の漏水調査、水道配水管内の流れ方向調査に。
ボイラ給水の流量測定、復水器循環ポンプの流量測定、タービン油の流量測定、
原料や洗浄水の流量測定、純水の流量測定などに使用されています。
超音波ドップラー流量計 SX30【ハイテック】
- ・DFD機能により耐ノイズ性が向上。
- ・充電式で電源不要。
- ・気泡混入の影響を受けない。
- ・小口径から大口径まで1台で測定可能。
- ・トランスデューサーの取り付けがワンタッチ、しかも内径を入力するだけなので操作性が非常に良い。
- ・90,000点のデータ保持が可能。
- ・配管の外側にトランスデューサーを取り付けるだけで測定できる、超音波ドップラ流量計は幅広い流体に対応可能。
濁水の流量調査や工場などの本管や棟・ライン別の使用量管理に。
各部門別使用量管理、化学液、薬液、水道水などの超音波が通る液体測定などに使用されています。