水質について [技術資料]
◆水素イオン濃度(pH)
「水素イオン濃度指数」(pH)は、溶液中の水素イオン濃度の逆数の常用対数をとった数値で、溶液の酸性/アルカリ性の強さを示す指標です。
水素イオン濃度は、例えば10-6.5のように小数点以下にゼロが多く並ぶ非常に小さな数値で、そのままでは扱いにくいので、この羃指数の-6.5に注目して、その絶対値をとって正の数値にしたものがpHであり、次式で定義されます。
pH=-Log[H+]
pHは、0から14の範囲の値をとり、pH=7は中性で、pH<7が酸性、pH>7がアルカリ性に分類されますが、温泉など特殊な例を除いて、通常はpH=7 前後の中性に近い値となっています。
また、雨の場合は、大気中の二酸化炭素(CO2)が溶け込んで飽和しているため、通常はpH=5.6 程度の値となっています。
◆電気伝導率
水の電気伝導率はその水の電気の通し易さを示すものです。水が電気を通すのは水中の電解質によるものであり、電荷を持ったイオンが電流の担い手ですから、水中に電解質の量が多ければ多いほど電流が多く流れます。
したがって、水の電気伝導率は水中の電解質の量を知る目安になり、また、電解質の量は一般の自然水、用水では溶解固形分にほぼ比例しますから、電気伝導率は溶解固形分を知る目安にもなります。
◆残留塩素
水道の水の中に存在させることが必要な遊離残留塩素(ゆうりざんりゅうえんそ)と結合残留塩素(けつごうざんりゅうえんそ)とを合わせたもので、その水に含まれる物質に対する殺菌や酸化反応に有効に作用し得る塩素化合物のことを指します。
◆溶存酸素量(DO)
「溶存酸素量」(DO=Dissolved Oxygen)は、水中に溶けている酸素量のことで、河川や海域の自浄作用や魚類などの水生生物にとって必要不可欠なものです。
DOは、気圧、水温、水中の塩分などの影響を受け、水温が高くなるほど小さくなり、20 ℃、1 気圧の水には8.84mg/.の酸素が溶解します。
また、水質汚濁の程度によっても変化し、水中の有機物の量が多い場合は、消費される酸素量が大きくなるので、DOの値は小さくなります。
一方、きれいな水では、水中の酸素を消費する汚濁物質が少ないので、DOの値は大きくなります。
◆浮遊物質量(SS)
「浮遊物質量」又は「懸濁物質量」(SS=Suspended Solid)は、水中に浮遊又は懸濁している直径2mm以下の物質の量のことです。
SSは、水をフィルターなどでこしたあと残る物質を乾燥・秤量したもので、プランクトンなどの生物の死骸やその分解物、これらに付着する微生物などの有機物、粘土微粒子などの無機物が含まれています。
SSの値が大きいほど、透明度などの外観が悪化するほか、魚のえら呼吸や水中植物の光合成に影響することもあります。
◆化学的酸素要求量(COD)
「化学的酸素要求量」(COD=Chemical Oxygen Demand)は、海水などに含まれる有機物等を、酸化剤によって酸化するときに消費される酸化剤の量を、酸素の量に換算したものであり、有機物による水質汚濁の指標となっています。
CODの数値が大きい場合は、水中に存在する有機物の量が多いことを意味し、有機物による水質汚濁の程度が大きいことになります。
◆生物化学的酸素要求量(BOD)
「生物化学的酸素要求量」(BOD=Biochemical Oxygen Demand)水中の有機物などの量を、その酸化分解のために微生物が必要とする酸素の量で表したもので、特定の物質を示すものではない。一般にBODの値が大きいほど、その水質は悪いと言えます。