電気計測とは [技術資料]
◆クランプテスタとは
クランプテスタは配線をクランプする(はさみこむ)だけで、電源を止めたり、配線を切断することなく通電状態のままで電流を測定することができます。
デジタルマルチメーターでの測定では「下図」のように配線を切断する必要がありますが、クランプメータは「下図」のように配線をクランプするだけで大電流も簡単に測定することができます。
停電が困難な24時間稼働ビルや工場においては、日常保守点検項目の一つとして、また定期的な点検により重要な回路や機器の絶縁爆破を予測する予防診断の手法として使用されています。
◆リーククランプテスタ
低圧電路において、リーククランプテスタで漏洩電流を測定して、簡単に絶縁管理を行う場面が増えてます。
これは1997年に電気設備技術基準が改正され、電路および機器の漏電電流の測定が第一次判定手段として認められたことによります。
「使用電圧回路が低圧の電路であって ~中略~ それぞれ漏電電流を1mA以下に保つこと。 電技第14条より」
◆絶縁抵抗とは
絶縁抵抗は電気機器や電路の絶縁状態を表すもので、保安管理上重要な測定項目の一つです。
絶縁状態を調べるには、活線の場合リーククランプテスタによる方法もありますが、一般的には電気機器や電路の使用を停止し、絶縁抵抗計で測定します。
JIS C1302 2002で規定されている定格は以下のようになっています。
■アナログタイプ
定格測定電圧(V) |
25 |
50 |
100 |
125 |
250 |
500 |
1000 |
有効最大表示値(MQ) |
5 |
10 |
5 |
10 |
10 |
20 |
10 |
20 |
20 |
50 |
50 |
100 |
1000 |
200 |
2000 |
■デジタルタイプ(有効最大表示値は自由に選択して良い)
定格測定電圧(V) |
25,50,100,125,250,500,1000 |
有効最大表示値(MQ) |
1,2,5,10,20,50,100,200,500,1000,2000,3000,4000 |
◆接地抵抗計とは
接地抵抗とは、接地極が巨大な導電体である大地に、どの程度のインピーダンスで接続されているかの目安であり、その測定するのが接地抵抗計です。
電気設備技術基準では次のように接地工事の種類と接地抵抗値が定められており、この値を保たなければなりません。
接地工事の種類 |
接地抵抗値 |
A接地工事 |
10Ω以下 |
B接地工事 |
変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1接地路電流のアンペア数で150(変圧器の高圧側の電路又は使用電圧が35,000V以下の特別電圧側の電路と低圧側の電路との混触により、低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、1秒を超え2秒以内に自動的に高圧電路又は使用電圧が35,000V以下の特別高圧電路を遮断する装置を設けるときは300、1秒以内に自動的に高圧電路または使用電圧が35,000V以下の特別高圧電路を遮断する装置を設けるときは600)を除いた値に等しいオーム数。 |
C接地工事 |
10Ω以
(低圧電路において、当該電路に地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施備するときは500Ω) |
D接地工事 |
100Ω以下
(低圧電路において、当該電路に地絡を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施備するときは500Ω) |
「接地」は機器設計や工事設計にあたっての重要な検討項目です。その第1の目的は人身の保護であり、続いて機器の保護やプラントの保護という「安全」を守る目的があります。
機器の動作の面からは、ノイズは大地に積極的に早く流して機器の精度を維持、機器の安定動作を保つと言う重要な役割があり、主な役割には次のようなものがあります。
- 機器の内外において高圧または特別高圧回路と低圧回路との混食防止
- 静電誘導電圧の上昇防止
- 雷の誘導防止
- 感電防止
- 雑音の防止
- 電気回路の帰線として大地を利用
- 電位の一定化
このような理由から、信号変換器をはじめとする制御機器にはアース端子を設け、接地をとることを基本としています。
◆クランプ電力計とは
クランプ電力計は電流入力がクランプ式の電力計です。測定する際に配線を切断する必要がなく取付が容易で、一定期間の測定をする場合の仮設設置に適しています。
環境マネジメントシステム(ISO14001)の認証や省エネルギー法で定められた使用電力の管理を効率よく実施するために、電力量/デマンド測定等の各種測定機能を備えています。また、設備診断や予防保全の測定に必要な高調波測定機能を搭載した機種もあります。
◆クランプ電力計の用途
- 省エネ対策
工場やビルにおける省エネ対策前後の電力エネルギーを測定し、対策の効果を確認する。
- ISO14001
消費量の現状把握と目標値管理のための測定をする。
- 設備診断や予防保全
電圧変動や高調波は各種設備の故障の原因となるため、定常的な測定が必要となります。