非破壊試験について [技術資料]
「非破壊試験によるコンクリート構造物中の配筋状態及び測定要領(案)」より
◆適用範囲
この要領は請負者の施工管理(出来形管理)において、コンクリート構造物内部の鉄筋の配筋状態及びかぶりを対象として探査装置を用いた非破壊試験にて測定を行う場合に適用する。
なお、対象構造物としては、橋梁上部・下部工及び重要構造物である内空断面積25m2以上のボックスカルバート(工場製作のプレキャスト製品は全ての工種において対象外)とし、施工条件等によりこの要領(案)によりがたい場合は、監督職員と協議の上、適用範囲を変更してもよい。
請負者は、監督職員が立会を行う場合には、足場の存置に努めるものとする。
また、完成検査、中間技術検査等において、発注者から足場設置等の検査に必要な指示があった場合は検査できるように準備するものとする。
◆測定の対象等
(1)測定断面数及び測定箇所
対象構造物において、原則として表1に示す数の測定断面を設定し、各断面において、測定箇所を設定する。測定箇所は、60cm以上×60cm以上の範囲とし、応力が大きく作用する箇所や隅角部等施工に際してかぶり不足が懸念される箇所、コンクリートの剥落の可能性がある箇所などから選定するものとする。ただし、測定断面数や測定範囲等について、対象構造物の構造や配筋状態等により上記により難い場合は、発注者と協議の上変更してもよい。
表1 対象構造物と測定断面数等
対象構造物 |
対象構造物測定断面数 |
試験方法 |
橋梁上部工 |
一径間あたり 2 断面 |
電磁誘導法 |
橋梁下部工 |
柱部 3 断面(注1)
張り出し部 2 箇所 |
電磁波レーダ法 |
重要構造物のボックス
カルバート工 |
1 基あたり 2 断面 |
電磁誘導法、電磁波レーダ法 |
・ 構造物の条件、測定装置の性能等を考慮して試験方法を選定することとするが、試験方法の特性及び想定される設計かぶりより、上部工は電磁誘導法、下部工は電磁波レーダ法を使用することを原則とする。
・ 「表2 探査装置の性能」に示す性能を確保できる試験方法により実施すること。
・ 電磁波レーダ法については、現場の工程に支障の及ばない範囲においてコンクリートの乾燥期間を可能な限り確保した上で測定を行うこと。
注1) 打継目においてコンクリート打設前に主筋のかぶりを段階確認時に実測した場合には、実測付近の中段、上段の測定を省略することができる。
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(2)測定対象
配筋状態の測定は、鉄筋間隔、測定長さあたりの本数を対象とする。
かぶりの測定は、設計上最外縁の鉄筋(上部工のスターラップ、下部工の帯鉄筋等)を対象に行うこととする。なお、鉄筋の腐食によるコンクリート表面の剥離、崩落を防止する観点から帯鉄筋等がある場合は、同様にそれらのかぶりも測定する。
※「かぶり」は、各示方書等において以下の様に記述されている。
・ 共通仕様書:コンクリート表面から鉄筋までの最短距離
・ 道路橋示方書:鋼材の最外面からコンクリート表面までの距離、すなわちかぶりの最小値
・ コンクリート標準示方書:鋼材あるいはシースの表面からコンクリート表面までの最短距離で計測したコンクリートの厚さ
(3)使用機材
① 校正
探査装置は、メーカ一等により校正された機材を用い、使用に際して校正記録を確認するものとする。
② 使用機材
探査装置は、表2の性能を満たすものを使用すること。
なお、記録装置は、得られたデジタル又はアナログ出力を記録できるものとする。
表2 探査装置の性能(電磁誘導、電磁波レーダ法共)
種別 |
項目 |
項目要求性能
(電磁誘導、レーダ共) |
基本性能 |
対象となる鉄筋の種類 |
呼び名D10.D51(注2)を測定できること |
分解能 |
距離 |
5mm 以下であること |
かぶり |
かぶり2.3mm 以下であること |
測定精度 |
間隔の測定精度 |
土10mm 以下であること |
かぶりの測定精度 |
±5mm 以下であること |
測定可能な鉄筋の間隔(中心間距離) |
電磁誘導法 |
設計かぶりが50mm 未満の場合 |
75mmの鉄筋間隔が測定できること |
設計かぶりが50mm 以上の場合 |
設計かぶり×1.5の距離の鉄筋間隔が測定できること |
電磁波レーダ法 |
設計かぶりが75mm 未満の場合 |
75mmの鉄筋間隔が測定できること |
設計かぶりが75mm 以上の場合 |
設計かぶりの距離の鉄筋間隔が測定できること |
記録機能 |
データの記録 |
デジタル記録であること容量(注3)1日分の結果を有すること |
注2) 当該工事で使用する鉄筋径が探査可能であれば可
注3) 装置内の記録だけでなく、データをパソコンに転送、メモリーカードに記録できる機能などでも良い。
※ 電磁誘導法及び電磁波レーダ法以外で上記に示す性能を確保できる試験法により実施する場合は、事前に監督職員の承諾を得るものとする。
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(4)測定者
本測定の実施に際しては、各試験に固有の検査技術ならびにその評価法について十分な知識を有することが必要である。このため、測定者について、事前に監督職員の承諾を得た者が実施するものとする。
(5)事前調査
探査試験を開始する前に、探査箇所の設計図及び完成図等の既存資料より、測定対象のコンクリート構造物の設計諸元(形状、鉄筋径、かぶり、間隔等)を事前に確認する